グリーンボンドファンド
グリーンボンドの発行増加に伴い、グリーンボンドファンドも増加しています。以下は、代表的なグリーンボンドファンドの概要です。ポートフォリオに占めるグリーンボンドの割合やグリーンボンドの適格性基準などがファンドによって異なり、グリーンボンドに対する様々な投資方針があることがわかります。
国際決済銀行(BIS)の中央銀行向けグリーンボンドファンド
- 開始年月
- 2019年9月
- 運用期間
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- 運用者(ポートフォリオ・マネジャー)
- BISアセットマネジメント
- ファンドの投資方針
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- BISメンバーである中央銀行の外貨準備高をプールし、グリーンボンドに投資。
- 気候対策への大規模投資とグリーンボンド市場慣行のベストプラクティスの実施を通じて、グリーファイナンスを促進するもの。
- ドル建てのオープンエンド型ファンドで、BISアセットマネジメントが管理。
- 適格性のあるグリーンボンドは、格付A-以上で、かつ、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則及び/又はClimate Bonds Initiative(CBI)の気候ボンド基準を遵守しているものが対象。
- その他特徴/留意点等
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- グリーンボンドファンドの設立は、BISの気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)への参加にそった活動であり、また、BISによる環境ファイナンス支援への幅広いコミットメントの一環。
BIS‘Press Release:BIS launches green bond fund for central banks’を基に環境省作成
Amundi Planet Emerging Green One (EGO)
- 開始年月
- 2018年2月
- 運用期間
- 12年(最長15年)
- 運用者(ポートフォリオ・マネジャー)
- Amundi Asset Management, London branch
- ファンドの投資方針
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- 新興国におけるグリーンボンドを投資対象とし、グリーンボンド発行を促進することを目的とする。ファンドの規模は、20億米ドルを目指す。同ファンドは、新興国におけるESGの優良事例を考慮しつつ、国際金融公社(IFC)の環境・社会・持続可能性面における業績基準、IFCの投資除外リスト、また、Amundiの投資除外方針に基づき、投資方針にESG方針を統合。同ファンドのESG方針は、①ESGスコアによる発行体レベルでの除外②投資対象ボンドのグリーンボンド・フレームワークの評価(主に透明性・情報公開の観点から)、③グリーンボンドの高いパフォーマンス基準の確保(特に、プロジェクトレベル事業による高い環境・社会便益とESGリスクの観点から)、の3点を重視。
- リスク・コンプライアンス部門に所属するスタッフがポートフォリオ・マネジメントチームと独立して、ファンドのESG方針の実施を監督。
- その他特徴/留意点等
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- グリーンボンド投資を目的とした世界最大の債券ファンド。
- 運用資産は、開始直後の2018年3月16日時点で、14.2億米ドル。
- 新興国のみを対象にしたグリーンボンドファンド。
- 初期段階では、新興国の金融機関、ソブリン、準ソブリン等が発行する債券にも投資し、投資期間(7年)までにポートフォリオを100%グリーンボンドとすることを目指す。
- ファンドに関連して、IFCと連携してInvestment Support Facilityを設定し、グリーンボンド発行体へグリーンボンド原則への準拠、ESG投資のベストプラクティスの情報発信、グリーンボンド関連のイベントやトレーニングプログラムの開催の支援などを通じ新興国におけるグリーンボンドの発展を支援予定。
- 毎年、前年の環境・社会面の業績ついてESG年次報告書を全投資家に報告。ESG年次報告書の内容は、発行体名、可能な範囲でファンドからの資金が充当されたプロジェクトおよびその金額、期待されるインパクトを含む。
Amundi “A strong commitment for Amundi Planet – Emerging Green One, the World’s Largest Green-Bond Fund dedicated to emerging markets”、IFC “ IFC, Amundi successfully close world’s largest green bond fund”, Amundi “INVESTMENT GUIDELINES EMERGING GREEN ONE a sub-fund of AMUNDI PLANET, SICAV-SIF” をもとに環境省作成
BNP Paribas - Parvest Green Bond Fund
- 開始年月
- 2017年9月
- 運用期間
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- 運用者(ポートフォリオ・マネジャー)
- BNP Paribas Asset Management Luxembourg
- ファンドの投資方針
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- 企業、国際機関、地方自治体団体、政府が発行する世界のグリーンボンドに投資し、中期的な資産価値の増加を目指す。
- Bloomberg Barclays MSCI Global Green Bond Index (ユーロヘッジ)をベンチマークとする。ただし、同インデックスに含まれていない証券にも投資。ただし、グリーンボンドが全資産の83.5%以上になることをめざす。また、全資産の3分の2以上はグリーンボンドが占めていることを義務付ける。
- 同ファンドでは、グリーンボンド購入前に、発行体とミーティングをもち、各グリーンボンドの持続可能性に関する信頼性、環境へのインパクトのモニタリングについて確認する。また、投資が環境へのポジティブインパクトをもたらしたことを確認するため、購入後にも定期的なミーティングを持つ。
- その他特徴/留意点等
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- 運用資産は、2017年10月の開始直後の時点で、1億ユーロ。
BNP Paribas “PARVEST GREEN BOND – EUR ” 、BNP Paribas Asset Management “ANNUAL REPORT at 31/12/2017”、 BNP Paribas Asset Management “Prospectus July2018” 等をもとに環境省作成
Blackrock iShares green bond index fund
- 開始年月
- 2017年3月
- 運用期間
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- 運用者(ポートフォリオ・マネジャー)
- BlackRock Asset Management Ireland Limited
- ファンドの投資方針
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- 主に、Bloomberg Barclays MSCI Global Green Bond Index(ユーロヘッジ)に含まれている債券に投資。同インデックスの適格性基準は、グリーンボンド原則の規定(調達資金の使途、明確な評価と選定プロセス、調達資金の別勘定管理、定期的なレポーティングなど)を反映している。
- 同インデックスでは、市場では一般的にグリーンボンドとみなされていない場合でも、MSCI ESG Researchによってグリーンボンドに分類され、また、調達資金の使途に十分な透明性が確保されている場合には、当該債権がインデックスに含められる適格性を有する。
- グリーンボンドと認められるためには、債券の調達資金の使途が、次の分野のいずれかに分類される必要がある(代替エネルギー、エネルギー効率、汚染防止と管理、持続可能な水、グリーンビルディング、適応)。ただし、これらの分類に限定されるものではない。なお、発行体の事業の90%が、これら分野に分類される場合には、通常債券であっても投資対象として適格性を有する。
- その他特徴/留意点等
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- Blackrock Fixed Income Dublin Funds plcのサブファンド。
Blackrock “iShares Green Bond Index Fund (IE) | Class D ” 、Blackrock “Key Investor Information::iShares green bond index fund ” 、Bloomberg “Bloomberg Barclays MSCI Global Green Bond Index ” をもとに環境省作成
AXA World Funds Global Green Bonds
- 開始年月
- 2015年11月
- 運用期間
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- 運用者(ポートフォリオ・マネジャー)
- AXA Investment Managers (AXA Funds Management SA)
- ファンドの投資方針
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- AXA World FundのサブファンドであるGlobal Green Bondsは、政府や企業が発行する投資適格基準のグリーンボンドに投資し、中期的な収益増と資産価値増を目指すリスク分散型ポートフォリオ。
- AXA Investment Managersでは、グリーンボンド・アセスメント・フレームワークを用いて責任投資チームが投資対象となりうるグリーンボンドを選定。この対象の中から信用情報を用いるなどしてポートフォリオ・マネージャーがポートフォリオを構築。
グリーンボンド・アセスメント・フレームワーク
①発行体のESG評価(発行体の評判、ESGスコア、ファンダメンタルズ、1対1の対話)
②適格事業(事業のグリーン度、ESG認証、第三者評価)
③調達資金の管理(内部プロセス、資産分離、外部検証、リファイナンスか新規調達か)
④ESGインパクト報告(報告能力、環境インパクト計測能力と関連KPI、第三者検証) - ファンド資産の大半をグリーンボンドに投資(2018年11月時点で93%)
- その他特徴/留意点等
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- 運用資産は、2019年4月時点で、1.3億ユーロ
- 指標として、ファンド資産のグリーンボンド比率、CO2削減量、エンゲージメント比率、再生可能エネルギー量について報告。SDGsの該当目標に対するエクスポージャーについても報告。
- ファンドは、Novethicより TEEC認証 *を取得(2017)
* TEEC認証とは、2015年、フランス環境・エネルギー・海洋省のイニシアティブによりはじめられた認証制度。グリーンエコノミーを推進するファンドを認証するもの。
AXA Investment Managers Global Green Bonds Monthly Review December 2018 をもとに環境省作成
Calvert Green Bond Fund
- 開始年月
- 2013年10月
- 運用期間
- 4年半
- 運用者(ポートフォリオ・マネジャー)
- Calvert Investments
- ファンドの投資方針
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- Calvert社では包括的責任投資原則を導入しているが、同原則に準じ、投資の意思決定を行っている。包括的責任原則は発行体の業務に関連したESG要素に焦点を当てたものである。
- ファンド資産の少なくとも80%はグリーンボンドに投資する。ここでいうグリーンボンドには、ラベル付きグリーンボンドに加え、①グリーンプロジェクトを支援している企業の債券、②環境問題の解決に貢献している企業の債券、③環境分野でのリーダー的企業の債券が含まれる。具体的には、以下の基準に従い投資。
- クリーン技術あるいは環境便益をもたらす技術・製品・サービスからの収入が、全収入の少なくとも半分を占める企業、あるいは、当該企業が業界内で環境リーダーであることが立証可能な企業。
- 調達資金が環境分野(例:クリーンエネルギー、エネルギー・燃料効率、生態系と土地保全、水管理)に充当されているプロジェクトボンド。
- その他特徴/留意点等
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- Calvert社の包括的責任投資原則は、①環境持続性と資源効率性、②公平な社会と人権の尊重、③説明責任のあるガバナンスと透明性、を推進しているか、あるいは、これらのテーマに沿って運営あるいは債券を発行している企業を特定するものである。
Calvert “Q2 2018 Calvert Green Bond Fund”、及び、Calvert “CALVERT GREEN BOND FUND Supplement to Prospectus dated February 1, 2018 as revised April 5, 2018” をもとに環境省作成