外部レビューのポイント解説 
ケーススタディ①
(DNVGLビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社)

外部レビューのポイント

グリーンボンドの外部レビューは、発行体が参照する基準(例:グリーンボンド原則(ICMA)、グリーンボンドガイドライン(環境省))への適合確認についての客観的評価や、投資家をはじめとするステークホルダーに対しての開示・報告の際に更なる透明性・正確性・誠実性を必要と判断する場合に実施される。

グリーンボンドの調達資金は、グリーンプロジェクト*1に使われることが肝要である。また、対象プロジェクトがどのような判断基準により、グリーンプロジェクトとして評価・選定されたかを明確にすることは、投資家をはじめとするステークホルダーがプロジェクトのグリーン適格性を判断・理解する上で重要なポイントであり、外部レビューの重要な役割である。

外部レビューを行う際には、発行体と外部レビュー機関との間で以下2点を留意しながら情報共有を行うことにより、確実かつ適切な評価を行なうことが可能となる。

  • 対象となるプロジェクト分類・技術基準を明確にすること、また技術基準が定められた経緯やその意図を理解すること
  • 対象となるプロジェクトが考慮すべき技術基準を明確にすること(プロジェクトの特性に応じ、考慮すべき基準を取捨選択する)

当社では、気候ボンドイニシアチブのプロジェクト分類(タクソノミー)の技術基準*2が設定されている場合には、外部レビューの際にその技術基準を参照する。

ケーススタディ

プロジェクト① ごみ焼却発電設備

ごみ焼却による減容化とともに排熱から発電を行うことで、化石燃料由来ではない電力供給を可能とするプロジェクト。ごみ焼却施設における単純焼却は、CO2排出と熱エネルギー大気放出が環境への悪影響となるほか、ごみに化石資源由来プラスチックを含有するという観点からグリーン性の是非を問われるケースがある。

外部レビューでは、市中から排出されたごみが廃棄や単純焼却される場合のネガティブな側面(埋め立て時の環境負荷やメタンガス発生による温暖化への影響、焼却時のCO2等排出)を考慮し、本プロジェクトのポジティブな側面と比較の上、評価した。また、発行体の継続的な技術向上(高温高圧化による発電効率向上や、有害ガス処理設備の導入)への取組みや、中国をはじめとする海外への事業展開による地球規模の気候変動や廃棄物問題の緩和への期待において、ごみ焼却発電プロジェクトのモデルケースであると評価した。

プロジェクト② 再生可能エネルギー設備(バイオマス発電)・難処理古紙リサイクル設備

パルプ製造工程で発生する黒液(木材チップをパルプ化する際に発生する廃液で、バイオマス燃料となる)を発電に活用するプロジェクト。バイオマス発電では燃料の継続的な供給が課題となるが、本プロジェクトは当社事業継続が燃料の継続的な確保に寄与するため、将来にわたり化石燃料をほぼ使用せずに発電を行うことが可能となる。また、難処理古紙のリサイクルは、従来技術では再利用が難しかった紙製品の廃棄物を積極的に再生利用するプロジェクト。自社の古紙選別・パルプ化技術を生かした業界最先端の設備を導入し、これまで焼却処理していた難処理古紙の再生利用を可能とした。また、二次的な便益として、再生利用工程で発生するビニールなどの不適物(廃棄物)を焼却し、その熱エネルギーを紙の製造工程に活用する。これにより、古紙の資源循環割合の向上、廃棄物やCO2排出量を削減できるほか、化石燃料の使用も低減できる。自社技術を生かした設備の導入により、資源・エネルギーの有効利用と温室効果ガス排出を低減化する先進的取組みとなり、製紙業界の環境貢献活動モデルケースであると評価した。

これらのグリーンプロジェクトは、事業活動で発生する廃棄物の有効利用や、出荷後製品の環境負荷に対する取組み(再生・再利用の技術・設備の導入)について、製紙業界に留まらず、製造業等のベストプラクティスになると考えられる。

プロジェクト③ 再生可能エネルギー設備(洋上風力発電専用設備)

グリーンボンドの資金使途における再生可能エネルギーに関する事業の内の一つを構成する洋上風力発電用専用設備は、風力発電設備を運搬・設置するための専用船(SEP)であり、本プロジェクトはSEPの建造を対象とする。SEPは直接的に環境負荷削減に貢献するものではないが、洋上風力発電事業は、設備設置のための工事費用・期間がボトルネックであり、その解決に寄与するSEPの建造は、政府プロジェクトの拡大・普及の強力な支援となる。

SEPの活用は発行体一企業の活動に留まらず、多くの企業が関連すると考えられる日本の洋上風力発電事業の普及・加速に貢献すると期待される。外部レビューでは、技術基準の充足に加え、その実現可能性や、我が国の中長期的な気候変動・エネルギー問題への対処を考慮した上で、適格であることを確認した。このように、外部レビューではプロジェクトそのものの直接的な環境負荷削減の貢献だけではなく、そのプロジェクトの実行に付随する中長期的な環境貢献度合いも考慮する。

*1 グリーンプロジェクト
ICMAグリーンボンド原則における対象プロジェクト例

①再生可能エネルギー、②エネルギー効率、③汚染防止および管理、④生物自然資源および土地利用に係る環境持続型管理、⑤陸上および水生生物の多様性の保全、⑥クリーン輸送、⑦持続可能な水資源および廃水管理、⑧気候変動への対応、⑨高環境効率商品、環境適応商品、環境に配慮した生産技術およびプロセス、⑩グリーンビルディング

*2 技術基準
再生可能エネルギー設備の一例

  • 関連する設備の設置及び運用に伴う、付随的な温室効果ガスや有害な水・大気、廃棄物の排出に関する基準値の充足もしくは考慮
  • 内的及び外的な影響があっても設備運営が長期にわたり実行可能であること(例:バイオマスの供給燃料の確保や燃料コスト)
  • 関連設備を対象とする場合には、その設備がカテゴリーを実行するための専用設備であること